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[05.09/]
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※どんどん進めていかないと、夏が終わってしまいます。それでは続きです。


「お兄ちゃん、金魚すくいやろ~!」
テイトの弟に手を引かれるがまま神社の参道に並んだ屋台を漫ろ歩く。
こういう夏祭りに来たのは何年振りだろうか。
いや、こういった小さい神社で行われる祭りに来たのは初めてかもしれない。
見るもの全てが新鮮なのにどこか懐かしい。
できればテイトと二人きりでこのノスタルジックな雰囲気を楽しみたかった。
オレは小さく溜息を吐くと、オレのすぐ後ろを歩く二人の会話に耳を傾けた。
二人も祭りに来るのは久しぶりのようだ。
思い出話にせっせと花を咲かせている。
時折笑い声を挟みながら。
そんな二人を視界に入れたくなくてオレは祭りの風景に集中した。
「お兄ちゃん、こっちこっち」
カペラの小さい手がオレの手をぎゅっと握り締めた。
多少(かなり)の孤独を感じているオレにとってカペラはまさに天使だ。
ここは綺麗な金魚をすくってカペラにプレゼントすることにしよう。
オレは浴衣の袖を捲くると気合を入れた。

『これを着ていくといい』
食後にテイトの叔父は浴衣を差し出すとオレに着せた。
『思ったとおり! 寸法もぴったりだ』
言葉通り端から誂えたようにしっくりと体に馴染む。
オレが素直に感想を言うと『浴衣ってのはそういうふうに出来てるもんさ』と笑った。
その後、テイトの父親の形見だと聞いて慌てて脱ごうとして止められた。
『いいから着てってくれよ。テイトには、ほら……な!』
ああ、長けが余るのか……
テイトの叔父と顔を見合せて噴出した。

浴衣を汚さないようにしないとな。
袖と裾を気にしつつ金魚をすくうのは思いの他難しい。
そんなオレを横目にカペラが器用に金魚を一匹、二匹と掬い上げる。
「上手いもんだな」
「へへへ。お兄ちゃんの分も掬ってあげるね」
「いや、オレはいいよ。寮じゃ金魚飼えないし」
「そっか……りょ…」
「ん? 何?」
「寮でのテイト兄ちゃんって…」
「テイト? 人気者だよ。みんなから慕われてる」
「そう。良かった。ちょっと心配してたんだ。お兄ちゃん、結構天然だから…」
「まぁ、確かに天然だな」
「ふふふ」
カペラが嬉しそうに微笑んだ。
テイトは確かにみんなから慕われてる。
いろいろな意味でな。
ついでに邪なヤツはオレが陰ながら排除してる。とは、この兄思いの弟には言えないが、これからもオマエの大事な兄ちゃんはオレが守るよ。そう、心の中で呟いた。


つづく


※ようやく祭りに辿りついたものの中々イチャイチャな展開にならなくて、不完全燃焼w
次回はミカゲといよいよ対決!するのかな?
書いてる本人が迷走中ですw
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