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[05.20/]
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※兄弟編、テイト小学生、フラウ中学生、フラウ視点で。


夕食後、テイトに「星を見よう」と、手を引かれて屋敷の屋上へ。
星を見るっつったって、こんな都会じゃ天の川どころか北斗七星だって見えやしない。
案の定、聳え立つビルの灯りで星の瞬きを目で捉えることはできなかった。
「なんか見えるか?」
夜空に目を凝らしているテイトに声をかけるも、テイトは首を左右に振った。
「天体望遠鏡はねーの?」
この質問にも首を振った。
「おいおい、金持ちなんだから天体望遠鏡ぐらい揃えとけよ!」
親父に直訴してやると心に誓うも、今、この場で、オレがテイトにしてやれることは何もない。
諦めて屋上の隅に置いてあったサマーベッドを広げると寝そべった。
寝転がった方が夜空を眺めるのは楽だ。
案外このまま空を眺めていれば目も慣れて見えるようになるかもしれない。
「テイト」
テイトを傍へと呼び寄せると意図が解ったのか、自分から滑り込んできた。
少し窮屈だが二人並んで横になる。
目に映るのは聳え立つビルの灯りと真っ黒な夜空。よっぽど光を発する星が現れないかぎり見えることはないだろう。
まぁ、別に眠くなったらこのまま寝ればいいか。
テイトがベッドから落ちないよう、肩に手を添える。
暇つぶしに学校での出来事なんかを話しているうちに短冊の話題になった。
「で、テイトは何て書いたんだ?」
「お兄ちゃんとずっと一緒にいられますようにって」
「!!!」
おいおいおい、ちょっと、まて!?
いや、嬉しいよ! 嬉しいけど、短冊に書くことじゃないだろう?
「先生に止められなかったのか? もっと、こう、短冊って、世界平和! とか、金持ちになれますように! とか…あ、テイトには関係ないかもしれないけど、そういうの書くだろ、普通?」
「ん? 別に先生、何も言わなかったよ」
「オマエ、相当なブラコンだと思われてるぞ」
「ブランコ?」
「……いや、なんでもないよ」
きっと、学校でもこの調子で、回りも承知してるのだろう。テイトの天然を温かく見守る先生、ご学友を想像して綻ぶ口元を掌で隠した。
と、その時、一筋の光が夜空を走った。
「あっ! 流れ星!」
同時に声を上げ、一瞬の光の筋は消えた。まさに瞬く間だ。
「綺麗だったな」
「……」
待ちに待った星を見ることができたというのに、テイトの顔はどこか不満気だ。
「どうした?」
「願い事するの忘れた……」
「あっという間だったものな。あれじゃ、願い事するのは難しいだろ? 何か願い事があったのか?」
真剣な面持ちでテイトは大きく頷いた。
「お兄ちゃんとずっと一緒にいられますようにって」
「!!!」
おおおおおおい! 
オマエはオレを悶え殺す気か!?
もう、一生、敵わぬ願いとでも思っているのだろうか?
オレは此処に居るというのに!
しかもテイトは涙目だ!!!

堪らずテイトを抱きしめると「大丈夫、一生、テイトの傍にいるから」と口走っていた。


おわり。


※七夕終わってますが、季節ネタということでwww
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